個人年金保険のライフステージ・世代・世帯別の加入状況について

ざっくり言うと・・・
・個人年金保険の加入率は年々下がっているが、老後貯蓄としては貴重な選択肢の一つ

・子育てがひと段落する50代では3割近くが個人年金保険に加入している

・給付開始年齢は退職のタイミングに合わせるケースが多い(60歳、65歳)

・貯蓄性を求める人が多いため「変額年金保険」よりも、一定の給付が保障される「定額年金保険」を選択する人が多い

★ここに目次

個人年金保険の加入率は21.4%

個人年金保険に加入している世帯は、全体の21.4%です1
これだけを見ると個人年金保険はあまり普及していないようにも見えますが、年代が上がるにつれ、加入率も上がっていきます。
以下で、年齢やライフステージごとに分類した具体的な加入率を紹介していきます。

ライフステージ・世帯・世代別加入状況

前述のとおり、個人年金保険の加入率は、ライフステージや年齢などによって異なりますが、まず始めに、全体的な加入率を見てみましょう。

上記のグラフから分かるように、個人年金保険の加入率は、平成24年までは順調に増加していましたが、平成27年は減少に転じ、加入率は21.4%となっています。これは、個人型確定拠出年金などの新たな制度が注目され始めたことや、マイナス金利などの影響により、全体的に個人年金保険の金利が下がってきたことが理由だと考えられます。

とはいえ、公的年金だけでは生活費を賄えなくなる可能性が高い将来に向けて、個人年金保険は、自力で老後資金を準備するための代表的な方法であることには変わりません。では、ライフステージ別、世代別加入状況についても見ていきましょう。

ライフステージ別加入率

家族がいる人、家族を持つ予定のある人は、ライフステージに応じて様々なお金がかかります。特に子どものいる人は教育費などがかかるため、個人年金保険の加入も迷ってしまいますね。未婚、既婚、子どもの年代などに分けた、ライフステージ別の加入率をまとめてみました。

未婚              12.8%
既婚・子なし          21.2%
既婚・末子未就学児       16.4%
既婚・末子小学生        16.8%
既婚・末子中学生・高校生    19.1%
既婚・末子短大・大学・大学院生 23.6%
既婚・子すべて卒業(未婚)   18.0%
既婚・子すべて卒業(既婚)   15.7%

この統計を見ると、個人年金保険の加入者は、未婚者よりも既婚者の方が多くなっています。中でも、①既婚・子なしの世帯、②末子が短大・大学・大学院生の世帯の加入率が高いことが特徴的です。①については、子どもがいない共働きの世帯が多いため、家計に余裕があることが考えられます。また、②については、子どもの教育資金が一段落した段階で、老後資金の準備を考える家庭が多いことが推測されます。

個人年金保険の世帯・世代別加入率

個人年金保険の必要性を感じても、今すぐに老後の貯蓄までは手が回らない人も多いでしょう。では、概ね何歳くらいまでに個人年金保険に加入している人が多いのでしょうか。世帯主の年齢別に、加入率をまとめてみました。

全体 21.4%
29歳以下  8.8%
30~34歳  13.9%
35~39歳  16.6%
40~44歳  21.2%
45~49歳  26.3%
50~54歳  25.8%
55~59歳  28.8%
60~64歳  28.8%
65~69歳  25.0%
70歳以上  13.9%

やはり、20代の若い世帯は加入率が10%未満と低いのですが、世帯主が40代、50代となるにつれて徐々に加入率も上がっていきます。中でも、50代後半の人は、3割近くが個人年金保険に加入しています。主に、30代の家族を持つタイミング、または50代の子どもの手が離れるタイミングで、加入を検討する人が多いと考えられます。

どの種類の個人年金保険に加入している?

加入している人たちの年齢やライフステージについては以上のとおりですが、一口に「個人年金保険」といっても、様々な種類があります。加入者の人たちは、どのような種類の保険に入り、何歳から何歳まで年金を受け取る予定なのでしょうか。給付開始年齢、給付期間、種類をそれぞれまとめてみました。

個人年金保険の給付開始年齢

個人年金保険の場合、各自のライフスタイルに応じて、給付開始年齢を柔軟に選択できます。では個人年金保険の加入者の人たちは、大体何歳頃から年金を受け取り始めるのでしょうか。世帯主の給付開始年齢をまとめてみました。

59歳以下  4.0%
60歳    29.0%
61~64歳  5.9%
65歳    26.1%
66~69歳  4.6%
70歳以上  8.0%
不明    28.8%

「不明」と回答している人が多いことが気になりますが、統計を見ると、給付開始年齢を60歳や65歳に設定している人が多いことが分かります。退職のタイミングに合わせて年金を受け取りたいと考えているのですね。

個人年金保険の給付期間

また、個人年金保険には受取額が確定している確定年金と一生涯にわたって年金の給付を受けられる終身年金があります。いったい、どちらを選択している人が多いのでしょうか。

5年間   9.4%
10年間   42.7%
15年間   6.0%
終身    15.5%
その他   1.3%
不明    30.8%

こちらも上記のように「不明」と回答している人が多いですね。受取期間は、10年確定年金を選択している人が圧倒的に多いです。また、終身年金のタイプを選択している人は、意外にも15.5%にとどまりました。

年金型商品の加入種類

個人年金保険には、様々な種類があります。どのタイプの保険に加入している人が多いのでしょうか。

民間の個人年金保険(定額)  74.9%
民間の個人年金保険(変額)  8.6%
かんぽ生命の個人年金保険   6.3%
簡保の個人年金保険      6.2%
JAの年金共済         7.2%
全労済の年金共済       2.9%
損保会社の個人年金保険    3.3%
その他            2.3%

この数値を見ると、民間の保険会社の定額個人年金保険に加入している人が74.9%と圧倒的に多く、変額年金よりも定額年金の方が人気だと分かります。

他の制度との比較

以上が個人年金保険の加入率に関する統計ですが、参考までに、個人年金保険と関連する他の制度の加入者数もご紹介します。

1.個人型確定拠出年金

個人型確定拠出年金の加入者は、平成28年3月現在で25万7579人です。個人年金保険よりも節税効果が高いので、加入者は年々増加傾向にあります。しかし、個人年金保険の契約件数が2000万件を超えていることを考えると、まだまだ加入率は低いといえるでしょう。

2.国民年金基金

国民年金基金とは、自営業者などの国民年金第1号被保険者が任意で加入できる制度です。国民年金基金に加入すれば、基礎年金に上乗せして年金を受け取ることができます。国民年金基金の加入者数は、平成28年3月現在で42万7026人です。予定利率が年々減少し続けていることや、任意に脱退できないことから、加入者数は減少しています。

統計から見えてくることは?

このように、他の制度と比較してみると、個人年金保険に加入している人はかなり多いという見方もできます。では、上記の統計数値をもとに、個人年金保険の加入率、加入者の傾向を分析していきます。

老後の貯蓄は後回しになりがち

50代、60代の3割近くが加入しているとはいえ、個人年金保険の加入率は減少しています。また、ライフステージ別に見ても、子どもたちが大学生になって教育資金が捻出できた段階でようやく加入する人が多いことが分かります。当たり前のことですが、生活費や教育費といった支出よりも、老後の貯蓄の優先順位は低くなりがちです。

しかし、50代、60代になってから加入すると個人年金保険料控除が適用されないおそれがありますし、返戻率も低くなりがちです。いずれ加入したいと考えている方は、加入時期に注意しましょう。

独身者の加入率が低い

未婚者の個人年金保険の加入率が、12.8%と低いのが特徴的です。未婚者の中には、年齢が若く、まだ経済的に余裕が無い人もたくさんいます。また、生涯独身の人は、財産を残す家族がいないことが多いので、もし給付開始年齢よりも早く死亡した場合に、年金を受け取る遺族がいなくなって結果的に損をする可能性があります。このような理由から、独身の人は個人年金保険に入りづらいのでしょう。

しかし、独身の人ほど、老後は経済的に頼れる人がいなくなる可能性があるため、老後資金の準備は念入りに行うべきです。お金に余裕のある人や貯金の苦手な人は、加入しておいても損は無いと思います。

個人年金保険には、貯蓄性を求める人が多い

次に、年金型商品の加入種類を見てみると、運用実績によって給付金額が変動する「変額年金保険」よりも、一定額の給付が補償される「定額年金保険」を選択する人がはるかに多いです。確かに、定額年金保険にはインフレに対応できないというデメリットがあります。しかし、給付金額が決まっていると安心感がありますし、支払った額以上の金額を確実に受け取ることができるお得感があります。このように、個人年金保険には、資産運用としての性質よりも、貯蓄性を求める人が多いことが分かります。

また、給付期間に「終身」を選択する人が15.5%と少ないことも個人年金保険に貯蓄性を求めることの表れです。もし、終身年金を選択すれば、一生涯にわたって年金を受け取れるため、老後の生活費をより安定させることができます。しかし、万一早く死亡した場合は、年金を受け取れなくなります。終身保険には安心感がありますが、常に払込金額以上の返戻金を受け取れるとは限りません。自分の寿命に関わらず、一定金額を確実に受け取りたい人が多いのでしょう。

公的年金のつなぎとして個人年金保険を利用する人が多い

個人年金保険は、給付開始年齢を60歳に設定している人が29.0%、65歳に設定している人が26.1%と他の年齢に比べて多いです。このことから、退職のタイミングに合わせて年金を受け取りたいと考えている人が多いようです。また、給付期間は10年を選択する人が42.7%と圧倒的に多いです。

このことから、単なる生活費の上乗せではなく、公的年金のつなぎとして個人年金保険を利用する人が一定数いることが考えられます。現在、公的年金の支給開始年齢は段階的に65歳に引き上げられることが決まっていますし、70歳までの繰り下げ受給も選択できる状態です。今後さらに支給年齢が繰り上げられる可能性が高いので、退職後から公的年金支給開始年齢までの空白期間を、個人年金保険で賄う人が多くなるでしょう。

なお、給付期間10年を選択する人が多いのは、個人年金保険料控除を受けるためには、年金受取期間が10年以上あることが必要とされているからです。

若いうちから加入する人は少ない

世代別加入率を見てみると、29歳以下の人の加入率が8.8%とかなり低いことが特徴的です。若い世帯は、まだ収入が低いことや、老後に関する意識が低いことが理由として挙げられます。国の財政状況などを見ると、今よりも年金額が増えることはほぼありえませんから、老後の備えとして、若いうちから加入しておくのは良いことです。また、加入期間が長いほど、受取金額も大きくなります。

しかし、生活に余裕の無い人が、日々の生活費を削ってまで個人年金保険に加入する必要はありません。特に、個人年金保険の中で人気がある「定額年金保険」の場合、インフレに対応できないという難点があります。もし、若いうちに定額年金保険に加入した後、インフレが進んだ場合、将来受け取れるお金の価値は目減りしていきます。加入時期は慎重に考えた方が良いでしょう。

今後の加入率はどうなる?

現在のマイナス金利の状態が続くと、保険会社も運用益を出すことが難しくなります。そのため、今後は個人年金保険の金利や解約返戻金が下がってしまう可能性や、保険料が値上がりする可能性が考えられます。

しかし、公的年金制度に対する不安も、年々増していますから、自力で年金を用意する必要はさらに高まるでしょう。そのような時に、依然として貯蓄性の高い個人年金保険の重要性は大きいはずです。たとえ、今より保険料が値上がりしたとしても、個人年金保険の知名度が上がれば、加入率は少しずつ上昇するのではないでしょうか。

まとめ

今回、加入率などをまとめた統計からは、以下のことが分かりました。

  • 個人年金保険の全体的な加入率は減少した
  • 50代の人は約3割が加入済
  • 給付金額が保障される「定額年金保険」が人気
  • 給付期間は10年が人気(10年以上で個人年金保険料控除が受けられるため)
  • 公的年金のつなぎとして利用されることが多い
  • 若いうちに加入する場合は、インフレリスクを考慮する

このように、個人年金保険は公的年金のつなぎなどに役立ちますが、若いうちから無理して加入する必要まではありません。では、具体的にいつ頃までに加入しておくのがベストでしょうか。個人の年収やライフスタイルによっても異なるでしょうが、次回は、個人年金保険に加入する場合の、適切な加入時期などについて検討していきたいと思います。

  1. 生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」

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