個人年金保険は公的年金を把握して考える

個人年金保険を考える前に。あなたの公的年金は?

ざっくり言うと・・・

  • 個人年金保険への加入及び加入額は公的年金をいくら貰えるのかを把握したうえで見当する必要がある
  • 公的年金は国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金の二階建て
  • 将来貰える国民年金は統一額だが、厚生年金は自身の収入に比例する

老後の生活に備えるための個人年金保険ですが、個人年金単体で考えるのではなく自身が将来国の保障(公的年金)でいくら貰える見込みがあって、自身のしたい生活レベルに対していくら足りないのかを元に考えていく必要があります。

本記事では、公的年金の仕組みとどのくらいの給料であればどのくらいの公的年金を貰えるのか、どのくらいで支払い額の元が取れるのかを見ていきましょう。

自身のしたい生活レベルに関する目安を知りたいかたは下記の記事を参考にしてください。

~老後の備えと個人年金保険をライフステージ別に考える~

公的年金、個人年金保険それぞれの平均受給額は?

個人年金保険と公的年金、みんないくらくらいもらっているの?画像:https://www.pakutaso.com/20120717188post-1670.html

保険会社が発売する個人年金保険への加入を検討する際、「周りの人はどれくらい受給できる個人年金保険に加入しているのだろう?」、「老後に必要な資金を補うために、どれくらい受給できる個人年金保険が自分には必要だろう?」などといった疑問を抱く方は少なくないと思います。公的年金の受給額と比較しながら、その平均受給金額を確認してみましょう。

公的年金の構造

公的年金の受給額について知る前に、まずは公的年金の仕組みを理解しておく必要があります。

日本の公的年金の保障は3層になっており、その構造はよく家に例えられ、一般に「3階建て」と称されています。1階部分は20歳以上60歳未満の全ての国民が加入する義務がある国民年金。2階部分は会社員・公務員が加入する厚生年金保険、共済年金、自営業者などが任意で加入する国民年金基金。3階部分は企業独自の厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)、共済組合の職域年金。これらで構成されています。1階建てよりも2階建て、2階建てよりも3階建てのほうが、受け取れる年金額は大きくなります。

そのため、自営業者と会社員で差があるのはもちろん、勤める企業や保険料の納付期間、平均標準報酬月額(標準報酬月額+年間の標準賞与×1/12)により、受け取ることのできる公的年金の金額は人によってさまざまです。

また、自営業者等を第1号被保険者、会社員・公務員等を第2号被保険者、第2号被保険者の扶養家族(専業主夫・主婦や学生)を第3号被保険者と呼びます。

公的年金の受給額

公的年金の受給額はさまざまな条件によって決定されます。具体例を挙げながら、金額の目安を確認していきましょう。

まず、1階部分である老齢基礎年金(国民年金を支払う事によって貰える年金)の受給額は、保険料の納付期間のみによって決まります。25年未満であれば老齢基礎年金は支払われませんので、最低でも25年以上加入していることが受給条件です(ただし、保険料免除期間(*)がある場合、納付済み期間と合算した年数が25年以上であれば、老齢基礎年金は支給されます。※平成29年8月1日より、受給資格期間が従来の25年から10年に短縮されることが決まっています)。

(*)会社員は厚生年金を支払っていれば国民年金も支払っている事になります。

平成29年4月時点での1階部分にあたる国民年金の満額は779,300円です(前年の全国消費者物価指数の変動率や賃金変動率などに応じて、毎年4月分から年金額が改定されます)。以下のような式で年金額を計算します。

<779,300円×保険料納付済月数/40年×12か月>

保険料を納めた年数が25年の場合は、月額約4.1万円、30年なら約4.9万円、35年なら約5.7万円、40年なら約6.5万円が給付されることになります。

続いて、2階部分の老齢厚生年金(ろうれいこうせいねんきん)。こちらの受給要件は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人で、厚生年金への加入が1か月以上あることです。受給額には、保険料の納付期間に加え、賞与を含む平均標準報酬月額も影響しますので、老齢基礎年金よりも個人差が大きいと言えます。厚生年金の受給額は、平均給与×一定乗率×加入期間(月数)という計算式で求めることができます。

会社員として40年間勤めた夫(標準報酬月額40万円、第2号被保険者)と専業主婦の妻(第3号被保険者)、この夫婦世帯を例に挙げて、老齢年金の受給額を考えてみましょう。保険料は40年間納付していますので、夫婦ともに老齢基礎年金を月々6.5万円受け取ることができます。加えて、夫は40年間厚生年金に加入していますので、標準報酬月額40万から計算すると老齢厚生年金として約8.8万円が上乗せされることになります。

<老齢基礎年金6.5万円×2名+老齢厚生年金8.8万円=21.8万円(/月)>

ですので、この夫婦の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて年間約260万円を受け取れることになります。加えて、もし夫の会社で確定給付企業年金などに加入していれば、さらに受給額は上乗せになります。一般に、老齢基礎年金と老齢厚生年金合計で、150万円~270万円ほどを受け取る世帯が多いようです。

このようにして、まずはご自身が受給できる公的年金を計算してみてください。そのうえで、個人年金保険でいくらカバーするべきかを考えてみましょう。2009年より「ねんきん定期便」の発行が毎年行われていますので、年金加入記録を確認することができます。

また、会社員の方は年金事務所に、公務員および私学教職員の方は担当部署にそれぞれ尋ねると、現在の状態が定年まで継続したと仮定して算出した年金額の目安を知ることができますので、ぜひ活用してみてください。

個人年金保険の平均受給額

次に公的年金で不足する分を賄うために利用する個人年金保険は一般的にはどのくらいの額で加入している人が多いのかを見ていきましょう。

(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯(夫婦)の個人年金保険の基本年金年額の全体平均は101.1万円です。月々に換算すると、約8.4万円。また、世帯主の平均は83.7万円、配偶者は74.1万円となっています。

ただし、これはあくまで平均額です。基本年金年額が108万円以上である世帯の割合がもっとも多く、25.2%を占めています。そのため、中央値はまた異なった数字になることが考えられます。平均値は参考までに知っておくくらいでよいでしょう。ご自身の預貯金、資産額、また、前述した公的年金の受給額、そして老後の生活資金をシミュレーションしたうえで、受給額を考えることが大切です。個人年金保険は、公的年金と必要な老後資金とのギャップを埋めるために加入するものだと考えるべきでしょう。

また、受け取れる年金額が多ければ多いほどいいのでは?と考える方もいますが、当然ながら保険料の負担が重くのしかかり、本末転倒となってしまいます。日々の生活はもちろん、住宅購入費用やお子さまの教育費など、現在必要なお金を見極めたうえで支払い続けられる保険料を考えましょう。無理のない年金計画を立てることが重要です。

いつからもらえるの?

個人年金保険と公的年金、いつからもらえるのか
画像:http://w3s.jp/works.php?id=9708

ライフプランを考えるうえで、年金の受給開始年齢は必ず押さえておきましょう。個人年金の受給年齢について知る前に、まずは公的年金の受給開始年齢から解説します。

公的年金の受給開始年齢

受給開始年齢も、国民年金・厚生年金・共済年金によってそれぞれ異なります。

まずは全員加入の国民年金。原則は65歳から受給開始となりますが、60歳から64歳の間に早めたり、66歳から70歳まで遅めたりすることも可能です。受給開始を早めることを繰り上げ支給といい、支給額は繰り上げる期間によって0.5〜30.0%減額されます。反対に、遅くすることを繰り下げ支給といい、支給額は108.4〜142%増額されることになります。

厚生年金・共済年金は、生年月日に応じて満額の年金が受給される年齢が段階的に61歳から65歳へと引き上げられています。こちらも、60歳から繰り上げ、70歳まで繰り下げて支給開始することができます。

個人年金保険の受給年齢

民間の個人年金保険は、公的年金のように一定の受給年齢が設定されているものではありません。ご自身のライフプランに従って受給開始年齢を決定することができます。

受給期間を長くすると毎月の保険料も増えるので自身のライフスタイルに沿った期間を個人年金保険の受給期間とする必要があります。

(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」の発表から、60歳に給付開始する人がもっとも多く、世帯主の29%、配偶者の26.6%が60歳で個人年金の受け取りを開始する年金保険に加入していることがわかります。続いて多いのが65歳で、世帯主の26.1%、配偶者の22.3%が65歳から個人年金を受け取り始めるようです。

これらのデータから、公的年金の受取時期に合わせて受給を開始する方が多いことがわかります。つまり、退職のタイミング、つまり給与が支払われなくなるときですので、お勤めの会社の定年年齢を目安に考えるのも一つの手と言えるでしょう。近年、65歳定年制を導入する企業も増えており、将来的には「生涯現役社会」が訪れる可能性もあります。今後ますます定年年齢が上昇すれば、個人年金の受給も遅くなる傾向になるかもしれません。

公的年金と個人年金保険の受給年数の違い

生きている限り決まった額を受け取り続けることができる公的年金に対し、個人年金は受給期間が決まっています。公的年金同様生涯受給できる終身年金、決まった期間受給できる有期年金、死後も遺族に年金の給付が一定期間続く確定年金など、受給期間は商品によってさまざまです。(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」から、給付期間10年間の個人年金保険に加入する世帯がもっとも多いことがわかります。

これには、公的年金と個人年金保険の財源の違いが影響しています。公的年金は現役世代から集めた保険料を財源にして高齢者へ支給する仕組みですが、個人年金保険は、ご自身で保険料をコツコツ積み立てる仕組みです。そのため、個人年金保険の財源には限りがあり、公的年金と同じ設計にはできないのです。

いくらかけていくらもらえるの?

個人年金保険と公的年金、いくらかけていくらもらえるの?

やはり保険に加入するうえで気になるのが、支払った保険料に対しいくらの年金を受け取れるのか、ということでしょう。一生懸命働いて得た大切なお金から、長い期間に渡って相当な額の保険料を払い続けるのですから、しっかりと老後資金に結びついてほしいと思うのは当然の心理だと思います。

この章でも、まずは公的年金に照らし合わせて、個人年金保険の保険料と年金額について考えてみましょう。

公的年金の保険料と年金額

給与明細を見るたび、目に飛び込んでくる「厚生年金保険料」の文字。決して小さくないその金額に、疑問を抱いた経験は一度ならずあるのではないでしょうか。自営業の方においても、毎月のしかかる国民年金保険料に苦い思いを抱いているかもしれません。ここでは、厚生年金保険料の算出方法を解説します。

厚生年金保険料は、標準報酬月額×保険料率で計算することができます。平成28年9月分から平成29年8月分までの保険料率は18.182%です。このうち、半分は企業が負担します。例えば、標準報酬月額30万円の会社員の場合、

<30万円×18.182%×1/2=27,274円>

となり、毎月自己負担する厚生年金保険料は27,274円となります。(企業が半分負担してくれることは非常に大きいです)

さて、これだけの金額を毎月納めた結果、老齢厚生年金はいくら受け取れるのかというと、前述したように平均給与×一定乗率×加入期間(月数)で計算することができます。

標準報酬月額30万円の会社員が支払った保険料により将来1か月分あたりで支払われる年金額は、以下のようになります。

<30万円×5.481/1000×1か月=1,644円>

これに、老齢基礎年金が加わります。厚生年金保険料を納めることで、老齢基礎年金と老齢厚生年金が給付されます。

<779,300円×1か月/40年×12か月=1,623円>

<1,644円(老齢厚生年金)+1,623円(老齢基礎年金)=3,267円>

つまり、1か月分の厚生年金保険料27,274円を支払う事により3,267円の年金が生涯に渡って受け取れます。これらの数字を元に何年で保険料を回収できるか計算すると、

<27,274円÷3,267円≒8.35>

となり、8年強で支払った保険料の元が取れるという計算になります。65歳で受給を開始すれば、73歳の半ばで保険料を回収できますので、男女ともに平均寿命が80歳を超えることを考えると、支払った保険料よりも多くの年金を受け取る人が多いと考えられます。

ただし、標準報酬月額に応じて納める厚生年金保険料と老齢厚生年金額は上昇しますが、老齢基礎年金は一律です。そのため、報酬が少ないほど保険料の回収が早く、報酬が高い人は時間がかかるということになります。他に、扶養している配偶者がいれば同じ厚生年金保険料で二人分の老齢基礎年金が受け取れることになり、保険料の回収はより早くなります。条件が変われば上記の計算式は当てはまらない点に注意してください。

このように、年金制度というのは意外と費用対効果の良い仕組みになっています。これには、厚生年金保険料の半額を会社が負担していることが大きく影響しています。年金制度は、高齢化社会でも維持できるようさまざまな制度の上に成り立っているのです。

個人年金保険の保険料

一方、個人年金保険の世帯年間払込保険料は、(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、平均17.9万円、月々に換算すれば約1.5万円です。25.6%の世帯が年間12〜18万円の範囲で保険料を納めているようです。

また、一時払にする世帯は全体の20.2%で、まとめて保険料を支払う世帯も少なくありません。一時払の保険料の平均額は685万円で、500万円〜1,000万円納める世帯がもっとも多くなっています。どちらにしても、大きな金額を保険会社に預ける世帯が多いことに変わりはありません。では、この元本からいくらの年金が受け取れるのでしょうか。

個人年金保険の費用対効果

個人年金保険の費用対効果を考えるときには、返戻率(へんれいりつ)を見ることが大切です。返戻率とは、支払う保険料に対する受け取る年金の割合のことです。

終身年金や変額年金などでは受け取る年金額が一定ではないため、返戻率を計算することはできませんが、確定年金や有期年金なら算出することができます。例えば、ある保険会社から発売されている確定年金保険に、30歳男性が加入するケースで考えてみましょう。保険料=月々1万円、年金受取開始年齢=65歳、基本年金年額=約44.1万円、年金受取期間=10年で契約した場合、払込保険料の総額は420万円、年金受取累計額は441万円になります。返戻率は、441万円÷420万円=105%となります。高いものだと120%を超えるものもあり、定期預金金利が0.010%程度であることを考えると、銀行に預けておくよりは費用対効果が随分高いと言えるかもしれません。

個人年金は、運用期間が長いほど返戻率が高くなります。また、据え置き期間を設定すればより返戻率を高くすることもできます。若いからと言って老後について目を背けていると、後々後悔することにもなりかねません。早い段階から老後について考えておくことが大切です。ただし、個人年金保険は、途中解約してしまうと元本割れする場合が多いので注意が必要です。また、保険料払込期間中に死亡した場合は、既払保険料相当額が死亡給付金として支払われることになります。

先ほども述べたように、公的年金と個人年金保険は財源が異なるため、一概に比較することは難しいですが、現役期間に毎月コツコツと積み立てておくことで老後に大きく反映されることに変わりはありません。

まとめ

いかがでしょうか。個人年金保険を選ぶときは、公的年金を元に考えると、受給額、受給年齢、保険料額などを想像しやすいと思います。受け取れる公的年金にも個人によって差がありますので、一般論ではなくご自身の状況に従って概算することをおすすめします。年金や保険料の平均額はあくまで目安と考え、ご自身のライフプランを描き、必要な老後資金を概算したうえで個人年金保険を選ぶことが大切です。

次回の記事では、具体的な個人年金保険を選ぶ際のポイントについて解説します。

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