個人年金保険 受取時の税金は?計算方法と確定申告について

個人年金保険の税金は確定申告は?

ざっくり言うと・・・

  • 個人年金保険の受給年金が「雑所得」として課税の対象になり、所得税と住民税がかかる
  • 個人年金保険の受給年金は所得税の課税対象になるので、年金の受取人は原則として毎年、確定申告をしなければならない

個人年金保険というと
固定金利で運用成果が約束されており、元本保証があり、普通預金より利回りが良く、税制面においても、「個人年金保険料控除」という特別の控除枠が設けられているため、所得税と住民税を軽減できるという節税メリットに目が行くかと思います。

ただし、税金についても忘れてはいけません。

将来受給される年金の一部が課税の対象になることも考慮に入れなければなりません。

本章では、個人年金保険の年金を受給するときには、どのような税金がいくらかかるのかについてご説明していきます。

受給時にかかる税金とは?

個人年金保険にかかる税金

まず、個人年金を受給した際の税金は、
保険料を支払った契約者と年金の受取人が同一人かどうかで計算方法が変わってきます。

<同一人物の場合>
受給した年金は「雑所得」とみなされ、所得税と住民税の課税対象になります。

<同一人でない場合>
税法の規定では契約者が年金を受け取る権利を受取人に贈与したものとみなされるので、初年度の受給年金にかぎり、「贈与税の課税対象」になります。

翌年以降の受給年金については、契約者と年金受取人が同一人の場合と同じように、所得税と住民税の課税対象となります。

住民税の計算方法は?

前年の所得金額に基準に課税する「所得割」と、所得に限らず一定金額を課税する「均等割」の税額を合算したものになります。

住民税の「所得割」の税率は一律で、ちょうど10パーセントになります。

所得税の計算方法は?(概要)

上記で述べたように、個人年金保険で毎年受給する年金は、所得税法上の「雑所得」として扱われます。

この「雑所得」というのは、所得税法で10種類に区分される課税所得のうち、他の9種類のいずれにも該当しない「その他の所得」を意味します。

そのため個人年金にかかる所得税の納付額を計算するためには、まず課税対象となる雑所得がいくらであるのかどうかを算出しなければなりません。

個人年金における雑所得は、年金の総収入金額から必要経費を差し引いて算出します。

計算式にすると、以下のとおりです。

雑所得=総収入金額-必要経費

この計算式を個人年金に当てはめると、「総収入金額」と「必要経費」は、以下のように言いかえることができます。

総収入金額=その年に受給する個人年金の総額

 必要経費=上記の総収入金額に対応した支払い保険料の金額

総収入額について(細かい補足)

さらに言えば、「総収入金額」は、個人年金保険の契約時に決められた基本年金に、配当金による年金の増額分を加えた総額という意味になります。

ただし個人年金保険の中には無配当型の商品もありますし、また配当型であっても、保険会社の運用成績次第では、無配当になる可能性もあります。

そのような場合には、「総収入金額」を基本年金の年額のみとして計上します。

一方、有配当保険で積立配当金が発生した場合には、それを契約者に還元するのではなく、年金の原資を増額するための追加保険料として貯蓄に上乗せをします。

そのために、年金受給がはじまる前に生じた配当金を元にした年金の増額分を「増額年金」、受給がはじまったあとに生じた配当金を元にした増加分を「増加年金」と呼んで区別しています。

有配当保険では、基本年期に以上2種類の年金を合算した金額が、個人年金保険の受給総額になります。

必要経費について(細かい補足)

つぎに「必要経費」についても補足すると、個人年金の必要経費としての保険料は、「その年の個人年金の受給総額」に対応した保険料額でなければなりません。

そのため、下記のようにやや面倒な計算式が用いられます。

 必要経費=1年に受給する年金の総額×支払保険料の総額÷年金の総受給額 (ただし小数点第3位を切上げ)

この計算のねらいは、まず支払保険料の総額を年金の総受給額で割ることでトータル的な利回りを算出し、それを「1年に受給する年金額」にかけることで、その年の「必要経費」=「対応する支払保険料」を算出することにあります。

こちらの説明については学資保険の記事で具体的な数字を用いて説明をしているのでそちらもご参考にして頂ければと思います。

ここで注意しなければならないのは、個人年金保険の年金受給期間にはさまざまなタイプがあることです。

そのため年金の総受給額についても、それぞれのちがいに対応する形で算出しなければなりません。

下記にに個人年金保険の種類を年金受給期間の違いごとに記載していきます。

年金受給期間の違いについて

個人年金保険受給期間で税金はかわります

期間限定型

確定年金

契約時に決められた期間内であれば、受取人の生死にかかわらず年金を受給できます。
総受給額の計算式は以下となります。

総受給額=1年に受給する年金総額×契約時に決められた受給年数

有期年金

契約時に決められた受給期間内で、受取人が生きている場合のみ、年金を受給できます。受取人が死亡すると、契約時に決められた期間に関係なく、年金の受給は終了します。
総受給額の計算式は以下となります。

総受給(見込)額=1年に受給する年金総額×契約時に決められた受給年数もしくは余命年数のいずれか短いほうの年数

保証期間付有期年金

契約時に決められた保証期間内であれば、受取人の生死にかかわらず年金を受給できます。その後は有期年金と同様に、契約時に決められた受給期間が満了するか、受取人が死亡した時点で年金の受給は終了します。
総受給額の計算式は以下となります。

総受給(見込)額=1年に受給する年金総額×契約時に決められた受給年数もしくは余命年数のいずれか短いほうの年数(ただし契約時に決められた保証期間を下限とする)

生涯受給型

終身年金

その名のとおりで、受取人が亡くなるまで年金を受給できます。総受給額の計算式は以下となります。

 総受給(見込)額=1年に受給する年金総額×余命年数

保証期間付き終身年金

契約時に決められた保証期間内であれば、受取人の生死にかかわらず年金を受給できます。その後は終身年金と同様に、受取人が亡くなるまで年金を受給できます。
総受給額の計算式は以下となります。

 総受給(見込)額=1年に受給する年金総額×契約時に決められた保証期間の年数もしくは余命年数のいずれか長いほうの年数

夫婦年金

夫婦のどちらかが生きていれば、生存している方が年金を受給できます。

この場合、被保険者が2人存在する、という意味で夫婦連生終身年金(ふうふれんせいしゅうしんねんきん)ということもできます。

つぎに個人年金保険における年金の総受給額ですが、確定年金の場合は、契約時に決められた受給年数を、一年分の受給年金額にかけることで算出できます。

それに対し、有期年金や生涯受給型の年金場合は、受取人が何歳まで生きられるかを算定しなければなりません。

そこで用いられるのが、所得税法施行令・第82条の3の別表にある余命年数表です。

<参考資料URL>
所得税法施行例令の余命年数表http://law.egov.go.jp/htmldata/S40/S40SE096.html#3000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

たとえば年金の支給開始日における年齢が55歳の男性の場合、上記余命年数表によると、余命年数は23になります。

有期年金や生涯受給型の年金については、前述の余命年数表をもとに、受取人の余命年数を推定し、年金の総受給額を「見込額」として計算します。
総受給額の計算式は以下となります。

総受給(見込)額=1年に受給する年金総額×夫婦の余命年数のうちいずれか長いほうの年数

所得税の税額の計算(詳細)

個人年金の受給年金における雑所得の計算方法については上述のとおりですが、所得税の課税対象は、1年間の全ての所得ですから、ほかにも課税対象の所得があれば、それらすべてを合算しなければなりません。

所得税の税率は累進課税方式で、所得が増えれば増えるほど税率も高くなります。

したがって所得税の納付税額を算出するには、まず課税対象の所得総額を計算し、それに対応する税率と控除額を把握しなければなりません。

課税対象の所得総額がわかれば、つぎに国税庁のホームページの「所得税の速算表」から適切な税率と控除額を割り出して、以下の計算式に当てはめれば、正しい所得税の納付税額が算出できます。

所得税の納付税額=課税される所得金額×税率-控除額

参考資料URL
No.2260 所得税の税率https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm

個人年金の源泉徴収税について

所得税については、課税所得が20万円を超えると、確定申告をする必要があります。

そのために個人年金保険の受給年金に含まれる雑所得が20万円を超えると、申告手続きに必要な「年金支払調書」という証書が、保険会社から発行されることになっています

さらに雑所得が25万円を超えると、雑所得の10.21パーセントを所得税として源泉徴収されることがあります。

この源泉徴収の税額はあくまで暫定的なものですから、確定申告時に、他の課税所得とあわせて、正しい納税額を確定しなければなりません。

その際には、前述の年金支払調書が源泉徴収票も兼ねることになるので、確定申告書とともに税務署へ提出する必要があります。

次章では個人年金の確定申告について、ご説明します。

確定申告の方法は?

個人年金保険の確定申告はどうすればいいのか

すでに述べたように、個人年金保険の受給年金は所得税の課税対象になるので、年金の受取人は原則として毎年、確定申告をしなければなりません。

ご存じのように確定申告とは、所得税および住民税の納付額を確定して申告する手続きのことを言います。

具体的には、課税対象期間の1月1日から12月31日までの所得額を確定申告書に記載して税務署へ提出し、確定した税額を納付するか、または還付申告をして納め過ぎの所得税の還付を受けることになります。

確定申告の時期は、課税対象期間の翌年の2月16日から3月15日までの1ヶ月間と決められています。

申告に必要な書類

確定申告に用いる確定申告書は、税務署や市区町村役場の窓口で手に入れることができます。

窓口が近くになければ郵送してもらうこともできますが、インターネットができるパソコンがあれば、国税庁のホームページにアクセスし、PDF形式のドキュメントファイルをプリントアウトして使用することもできます。

参考資料URL
国税庁 確定申告書などの様式・手引きhttp://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/yoshiki.htm

申告書にはさまざまな様式がありますが、税金の還付や個人年金保険に関わる雑所得の申告については、「確定申告書A」という申告書を用いるのが一般的です。

そこで本章では「確定申告書A」の書式について説明します。

なお、申告書を入手する際には、「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」というガイドブックも合わせて入手し、申告手続き全般の参考にするのがよいでしょう。

インターネットが利用できる方は、国税庁のホームページから、「確定申告書等作成コーナー」にアクセスすると、画面の案内にしたがって申告書を作成することができます。

参考資料URL
申告書A様式http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/qa/03.htm

国税庁のホームページから、「確定申告書等作成コーナー」https://www.keisan.nta.go.jp/h28/ta_top.htm#bsctrl

■確定申告書Aの書き方

確定申告書Aには、第一票と第二票があります。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kisairei2014/pdf/shinkoku_a.pdf

第一票には、以下の記入欄があります。

「住所、氏名、生年月日他」

「収入金額等」

「所得金額」

「所得から差し引かれる金額」

「税金の計算」

「その他」

「延納の届出」

「還付される税金の受取場所」

前述の手引きや「確定申告書等作成コーナー」の案内などを参考に、それぞれの欄に必要事項や計算額を記入します。

第二票には、以下の記入欄があります。

「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」

「雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」

「住民税に関する事項」

「所得から差し引かれる金額に関する事項」

金額の記入欄については、基本的に第一表で計算した数字を転記することになります。

なお、復興特別所得税とは、東日本大震災の被災者救援の財源確保を目的として、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの25年間導入される加算税で、税率は所得税額の2.1パーセントとされています。

最後に源泉徴収票や支払調書などの添付書類を専用の台紙に貼りつけ、申告書と共に税務署に提出します。

郵送も可能ですが、確定申告書は「信書」に当たるため、税務署に送付する際には、「郵便物」または「信書便物」として送付しなければなりません。「ゆうパック」や「ゆうメール」では送付できない点にご注意ください。

なお、先述のように住民税もまた、所得に応じて課税額が決まるため、所得税と同じく確定申告が必要ですが、税務署で所得税の確定申告をすれば、住民税納付先の地方行政府にも申告書の写しが届けられるので、住民税の申告を別途行う必要はありません。

確定申告を行う場所

確定申告といえば、申告期間中の税務署の混雑も関門のひとつにあげられます。

税務署によっては、申告期の混雑を少しでも緩和するために、庁舎外の利便性の高い場所に臨時会場を設置して、申告に関する相談や申告書を受け付けていますので、事前に確認するとよいでしょう。

また、地元の市町村役場でも確定申告はできますが、役場の窓口は基本的に住民税の確定が本来の業務であり、所得税の申告受付は専門外ですから、込み入った手続きや相談には対応できない可能性もあります。

電子申告・納税システム(e-Tax)について

国税庁の「電子申告・納税システム(e-Tax)」を利用すると、オンラインで確定申告ができます。

e-Taxを使えば、家にいながら申告手続きができるのですから、税務署の混雑に身を投じることもなく、時間を気にすることもありません。

その意味では便利なシステムではあるのですが、惜しむらくは、国の運営だけにセキュリティ対策を優先するあまり、利便性が二の次にされていることで、事前の手続きも煩雑ですし、肝心の申告ソフトも使いやすいとは言えず、よほど税務とパソコンの知識がなければ、作業に迷い悩むことになります。

現状では、一般の個人がe-Taxを利用するのは避けたほうが無難でしょう。

参考資料URL
e-Tax さらに便利に使いやすく 国税電子申告・納税システムhttp://www.e-tax.nta.go.jp/index.html

まとめ

個人年金保険の受給年金が「雑所得」として課税の対象になることは、すでに述べてきたとおりですが、この所得の区分が預貯金のような「利子所得」にならないのは、個人年金保険が税制上の「保険」に該当するからです。

しかし未曾有の低金利時代にあって、個人年金保険も長期貯蓄としての利回りの良さ=返戻率の高さといった投資商材的なメリットが重視され、保険としての機能やニーズはほとんど退化しているのが現状です。

 次は、個人年金保険の返戻率比較と計算方法についてご説明します。

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