年末調整確定申告で損をしないために知っておきたいこと

年末調整確定申告で損をしないために知っておきたいこと

 

この記事の内容をざっくり言うと・・・

  • 生命保険控除は支払った保険料の一部が戻ってくる制度であり、各保険において上限となる金額の枠があります。
  • 枠を有効に使う事で税金対策になりますが、控除枠のためだけに控除枠を考える事は本末転倒となるので留意しながらも
    しっかり計算して申告をすることが重要

企業や団体にお勤めの方にとっては、年末の風物詩である年末調整。生命保険の保険料はそういった年末調整や確定申告に記入の枠もあることから控除対象なのはご存知だと思いますが、その詳細についてきちんとは知らないという方がほとんどではないでしょうか。今回は生命保険料控除の基礎知識から計算方法、控除をうまく使うための知識をご紹介します。

生命保険料控除とは

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生命保険料控除は所得控除の一種です。所得控除とは、所得税額を計算する際に個人の事情を汲み取るために、生命保険や社会保険などの費用を所得から差し引く仕組みです。所得税や住民税の計算をする際にはその年の所得金額を確定させる必要があります。所得控除をすると、確定させる所得金額の数字が小さくなりますから、そのぶん税金も少なくなります。所得控除の種類は、国税庁のホームページにて記載されています。

生命保険料控除の種類

生命保険料控除の種類は以下の3種類にわかれます。なお生命保険料控除は平成22年に改正されたため、現在は新制度と旧制度の両方による運用がされております。ここではその種類について触れ、両者の違いについては後ほど解説します。

・一般生命保険料

一般的な生命保険契約、つまり民間の生命保険会社との生命保険契約、農業協同組合などの生命共済、などのことを指します。

・介護医療保険料

新制度によって加わったものです。医療費に対して保険金が支払われる契約、疫病や身体の障害などに対して保険金が支払われる簡易保険契約が対象となります。ただし、傷害保険や5年未満の契約、貯蓄系の契約は控除の対象となりません。

・個人年金保険料

個人年金保険が対象となります。年金の受取人が、保険料を払い込む人もしくは配偶者となっている必要があります。その他にもいくつか条件があるため、国税庁のホームページで一度ご確認ください。

生命保険料の額に応じて控除金額は変わる

所得控除の金額は、生命保険料などの支払い金額に応じて変わるようになっています。例えば上限を設けなかった場合、支払い保険料をわざと増やすことで所得金額を減らすことができます。

生命保険料控除の旧制度と新制度について

生命保険料控除は、平成22年度の税制改正によって制度が変わりました。それにより平成24年1月1日以降に契約した生命保険などの保険契約は新制度を用いた控除額が適用されます。それ以前に契約したものは、旧制度のまま生命保険料控除が適用されます。保険の内容自体に何か変化が加わるわけではありません。新制度・旧制度それぞれの、所得税・住民税の控除額は次の表のようになります。

*新制度の場合

新制度を適用させる場合、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料、それぞれの適用限度額は最大で4万円となります(所得税の場合)。住民税の場合はそれぞれ2万8千円と、所得税と住民税では控除額が異なります。

所得税 住民税
区分 年間払込保険料額 控除される金額 年間払込保険料額 控除される金額
一般生命保険料

介護医療保険料

個人年金保険料
(税制適格特約付加)
20,000円以下 払込保険料全額 12,000円以下 払込保険料全額
20,000円超
40,000円以下
(払込保険料×1/2)
+10,000円
12,000円超
+32,000円以下
(払込保険料×1/2)
+6,000円
40,000円超
80,000円以下
(払込保険料×1/4)
+20,000円
32,000円超
+56,000円以下
(払込保険料×1/4)
+14,000円
80,000円超 一律40,000円 56,000円超 一律28,000円

<生命保険文化センターより引用>

*旧制度の控除額

旧制度の場合は所得税の最大適用額が、一般生命保険料・個人年金保険料それぞれ5万円ずつです。また住民税の場合はそれぞれの最大適用額が3万5千円となっています。

所得税 住民税
区分 年間払込保険料額 控除される金額 年間払込保険料額 控除される金額
一般生命保険料

個人年金保険料
(税制適格特約付加)
25,000円以下 払込保険料全額 15,000円以下 払込保険料全額
25,000円超
50,000円以下
(払込保険料×1/2)
+12,500円
15,000円超
+40,000円以下
(払込保険料×1/2)
+7,500円
50,000円超
100,000円以下
(払込保険料×1/4)
+25,000円
40,000円超
+70,000円以下
(払込保険料×1/4)
+17,500円
100,000円超 一律50,000円 70,000円超 一律35,000円

<生命保険文化センターより引用>

*控除の限度額

生命保険料控除の金額は一般生命保険料・介護生命保険料などの控除額を合算したものとなります。以下の表は新制度・旧制度それぞれの、合算の限度額を示したものです。

新制度を適用する契約では、3種類受けた場合で12万円(所得税)・7万円(住民税)が最大の控除額となっています。旧制度では、2種類を合算した控除の限度額が10万円(所得税)・7万円(住民税)となっています。

単純に比較すると、新制度の方がたくさん控除できるように見えるかもり得ませんが必ずしもそうではありません。例えば新制度では保険契約1種類あたりの控除額(最大)が4万円となっています。もしあなたが1種類の保険(一般生命保険料のみなど)にしか加入していない場合、旧制度の方が、控除額が大きいということになります。

【新旧制度全体の適用限度額】所得税12万円、住民税7万円

控除の種類 保険料控除の限度額
【新制度】
平成24年1月1日以後の契約
<3種類>
一般生命保険料
介護医療保険料
個人年金保険料
<2種類受けた場合>
所得税8万円
住民税5.6万円
<1種類受けた場合>
所得税4万円
住民税2.8万円
<3種類受けた場合>
所得税12万円
住民税7万円
【旧制度】
平成23年12月31日以前の契約
<3種類>
一般生命保険料
介護医療保険料
個人年金保険料
<2種類受けた場合>
所得税10万円
住民税7万円
<1種類受けた場合>
所得税5万円
住民税3.5万円

<生命保険文化センター引用>

●新旧制度が混ざる場合もある

新制度が適用されるのは平成24年1月1日以降の契約ですから、新制度を適用する保険契約と旧制度を適用する保険契約の双方に加入していることも考えられます。また平成24年1月1日以降に保険契約を更新したものは、更新月以後の払込み保険料が新制度の適用となります。

例えば平成27年7月に保険契約の更新をした場合(先回の更新または契約が23年の12月31日以前のもので)、前半の半年分が旧制度、後半が新制度の適用となります。新制度と旧制度の双方が対象となる保険契約をお持ちの場合、控除の限度額は次のようなルールなります。

・全体の限度額は12万円(所得税)と7万円(住民税)
新制度・旧制度をそれぞれ適用させた場合、控除の限度額は全体で12万円(所得税)と7万円(住民税)となります。

・それぞれの控除額は4万円(所得税)と2万8千円(住民税)が限度
新制度を適用する保険契約の控除、旧制度を適用する保険契約の控除それぞれを合算することは可能ですが、限度額は新制度のものとなります。

例えば先ほどあげた、1〜6月の半年分は旧制度・後半の半年は新制度というもので考えてみましょう。それぞれを合算して控除の申請をすることは可能ですが、適用限度額は4万円(所得税)と2万8千円(住民税)までとなります。

・合算しなくてもいい

新制度・旧制度の併用は可能ですが、必ず合算しなければいけないというルールはありません。例えば旧制度を適用する保険のみで払込み保険料が年間10万円を超えるならば、旧制度のみを適用させた方が控除の金額はおおきくなります。きっちり計算をし、控除額が最大になるようにしたいですね。

生命保険料控除額の計算方法

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では、ご自身の控除額の計算方法を見ていきましょう。

払込保険料と控除額の対応を見る

保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」に記載されている内容を確認します(送付時期は保険会社によって異なります)。年間の払込み保険料の総額と、新制度・旧制度のどちらに該当するものかを確認できます。新制度・旧制度の区分を確認し、対応表をみてそれぞれの控除額を算出します。

新制度の場合は一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料で、旧制度の場合は一般生命保険料・個人年金保険料のそれぞれを計算します。なお保険会社のHPに計算をサポートしてくれるサービスがある場合もあります。

金額の大きいものを選ぶ

新制度・旧制度それぞれの計算が終わったら、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料それぞれで金額の大きさを比較してみましょう。

*一般生命保険料

一般生命保険料では、新制度、旧制度、新制度+旧制度の3通りで計算ができます。例えばAさんの支払い保険料の一般生命保険料が5万円(新制度適用)・10万円(旧制度適用)、介護医療保険料が5万円、個人年金保険料が4万円(新制度適用)・8万円(旧制度適用)の場合を想定してみましょう。

一般生命保険料
新制度 払込保険料
5万円
5万円×1/4+2万円=3.25万円
旧制度 払込保険料
10万円
年間の払い込み保険料が10万円を超える場合の控除額は一律5万円
新制度+旧制度 払込保険料
10万円+5万円=15万円
年間の払い込み保険料が8万円を超えると控除額は一律4万円

この場合、旧制度のみで申請した方が控除金額は高くなります。

・介護医療保険料

払込み保険料・・・5万円
5万円 × 1/4 + 2万円 = 3.25万円

・個人年金保険料

個人年金保険料
新制度 払込保険料
4万円
4万円×1/2+1万円=3万円
旧制度 払込保険料
8万円
8万円×1/4+2.5万円=4.5万円
新制度+旧制度 払込保険料
4万円+8万円=12万円
年間の払い込み保険料が8万円を超えると控除額は一律4万円

こちらの場合も、旧制度で申請した方の控除額が大きくなります。

それぞれを合算する

つづいて、上記の例を用いて、それぞれを合算してみましょう。

新制度のみ 3.25万円+3.25万円+3万円=9.5万円
旧制度 5万円+4.5万円=9.5万円
新制度+旧制度 4万円+3.25万円+4万円=11.25万円

この時点で、新制度+旧制度を合算したものが最も高いことが分かりました。

限度額を確認する

最後に限度額を確認しましょう。新制度・新制度+旧制度で計算した場合は12万円が上限です。旧制度のみで控除をする場合は10万円が上限です。これを踏まえると先ほどのものは全て上限を下回っています。従って、新制度+旧制度の11.25万円が最も大きい控除金額となります。

新制度・旧制度、とややこしいかもしれませんが、要点を抑えれば難しいことはありません。苦手という方は、保険会社の方や税務署に相談しにいくことで、問題が解決されるかもしれません。

生命保険料控除を申告する方法

それでは実際に生命保険料控除を申請する方法を解説いたします。

*10月ごろに保険会社から「生命保険料控除証明書」が届く

生命保険に加入していると、10月ごろに各保険会社から「生命保険控除証明書」が送られてきます。これは、普通のハガキや封筒で送られてきますので、間違って捨てないようにしましょう。

この生命保険料控除証明書は、年末まで使わないので、しっかり保管しておきましょう。万が一紛失した場合、保険に電話することで対応してくれる保険会社がほとんどですが、保険会社によっては受け付けてくれない場合もあります。そうなってしまうと、生命保険料控除を受けられなくなってしまいますので、お気を付けください。

*会社から源泉徴収票を受けとる

会社によって違いがあります。年末調整を会社の事務の方がほとんどやってくれるのであれば、生命保険控除証明書を提出して捺印するだけで完了するだけのこともあります。一方、そうでない場合、年末に会社から源泉徴収票が渡されると思いますので、そちらも保管しておきます。

*年末調製での記入(会社員の場合)
会社員の方は、会社から配られる「給与所得者の保険料控除書」を用意します。生命保険控除は、上記の赤い部分を記入します。
ご説明の通り、1.「一般生命保険料」 2.「介護医療保険料」 3.「個人年金保険料」のそれぞれの

4.「保険会社名」 5.「保険の種類」 6.「保険料支払い期間」 7.「契約者名」 8.「保険金受取人」 9.「新旧の区分」 10.「その一年で支払った保険料の金額」をそれぞれの控除証明書を見ながら記載します。

生命保険料控除を上手に使うコツ

https://www.pexels.com/photo/abstract-blackboard-bulb-chalk-355948/

つづいては控除を上手に使うポイントをご紹介いたします。

申告方法を押さえておく

生命保険料控除を上手に使うためにも申告方法は確実に抑えておきましょう。手続きは、会社員の方と自営業の方で異なります。

*会社員の場合

会社員の方の場合は、保険料を給料から天引きをすることができる場合があります。できない場合は「給与所得社の保険料控除等申告書」といった書類と保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」という書類を提出することで控除が受けられます。保険料を給料から天引きするといった方法が楽ですね。

*自営業の場合

自営業の方の場合は確定申告の際、確定申告書に生命保険料控除証明書を添付することで控除をうけることができます。なお住民税については、所得税の申告時に控除を済ませていれば自動的に反映された金額が課税されます。2回控除手続きをする、といった必要はありません。

控除額が高いものを選ぶ

控除金額が高いものを選んで申請をしましょう。新制度・旧制度と混ざっていると計算するのは面倒かもしれませんが、ひと手間かけるだけで戻ってくるお金です。

おおよその控除額を判断するコツとしては、それの上限を把握しておくことです。新制度では一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料、それぞれの上限が4万円かつ合計の上限は12万円です。一方で旧制度では一般生命保険料・個人年金保険料それぞれの上限は5万円、合計の上限は10万円です。

これを頭に置いておくと、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料のいずれにも加入している方は「新制度での申請の方が高くなりそうだ」といった予想を付けることがでます(厳密には計算をしないとわかりません)。

あくまでも保険が主体

ここまでは所得控除の話をしてきましたが、主役はあくまでも保険であることは覚えておきましょう。控除額を増やすために支払い保険料を多くする、といったことをしては本末転倒です。

 保険は保険の役割をきちっと果たすようにして、生命保険料控除は主体ではないことを押さえておきましょう。

まとめ

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生命保険料控除は、支払った保険料の一部が戻ってくるという制度です。現在は新制度と旧制度の両方で運用されており、どちらの制度を適用する保険なのかを確認することが重要になっています。

税金対策は大切ですが、あくまでも保険が主体であることが肝心です。保険の加入や見直しをするときは、はじめに万が一の事態などに備えるための保険があり、そのあとに生命保険料控除といった制度があることを念頭に置きましょう。保険は保険としてきっちり活用し、さらに賢く税金対策をしましょう。

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