生命保険会社が破綻した場合どうなる?

生命保険会社が破綻した場合どうなる?

 

この記事の内容をざっくり言うと・・・

  • 生命保険会社が破綻することはほぼ無いと考えてもよいが、万一の際には他会社による救済・機構による救済がなされるので支払ったお金がなくなってしまうことはないと考えてよい(予定していた利率が下がってしまうなどの影響はありえる)
  • 基本的に大手の保険会社であれば安心ではあるが万一に備えてソルベンシーマージン比率の高い会社での保険加入がおすすめ

ここまで生命保険について、それぞれの商品の特徴や、ライフイベント毎の保障の考え方についてご紹介してまいりました。生命保険はまさにその主とする機能である保障を得るための商品であるだけでなく、終身保険のように将来に向けた貯蓄の機能もあるため、加入期間も数十年に及ぶことが珍しくありません。

しかしそれだけに、その期間の間に自分が加入している保険会社が破綻するようなことになったら大変です。今回はそういった破綻に対した対策はあるのか、万が一保険会社が破綻したらどうなるのかなどについてご紹介してまいります。

ソルベンシーマージン比率について

https://www.pexels.com/photo/aerial-architectural-design-architecture-buildings-373912/

冒頭から、いきなり「破綻したら」という万が一のケースから入ってきましたが、そうならないために目安として、保険会社には財務体質の健全性を示す指標が対外的に公表されています。

その指標のことを「ソルベンシーマージン比率」と呼んでいます。

以下、詳しくご紹介してまいります。

ソルベンシーマージン比率とは

ソルベンシーは、英語でsolvency = 支払い能力を意味しています。またビジネスの世界では一般的になりつつあるマージンは、margin = 余裕や余地を意味しています。(ビジネスでは「利ざや」の意味合いでの利用が多いですが、本来はこちらの余裕や余白を意味する使い方がメインの単語です。)

つまり、ソルベンシーマージン比率とは、それぞれの保険会社の「支払い余力」を指す指標で、通常予測されている支払いを超えた、突発的なリスクに対応できる能力を示しています。

この数値が高いほど、いざという時の保険会社の保険金支払い能力が高いことという目安になります。

過去数十年という単位を見ること無く、過去10年ぐらいでもリーマンショックのような世界的な金融危機や東日本大震災のような自然災害が発生しており、そういった危機に対応できる力があるということは、それだけ安心して保険に加入し続けることができます。

●国内生命保険会社のソルベンシーマージン比率ランキング(上位20社)

順位 生命保険会社名 2016.3月期
1 ネオファースト生命 9969.9
2 みどり生命 7805.6
3 アイアンツ生命 5115.6
4 メディケア生命 3863.6
5 東京海上日動あんしん生命 3378.1
6 クレディ・アグリコル生命 3325
7 アクサダイレクト生命 3025.4
8 ライフネット生命 2805.5
9 ソニー生命 2722
10 オリックス 1975.1
11 損保ジャパン日本興亜ひまわり 1771.4
12 三井住友海上あいおい 1598.4
13 チューリッヒ生命 1596.9
14 かんぽ生命 1568.1
15 楽天生命 1523.1
16 大同生命 1341.9
17 富国生命 1321.8
17 SBI生命 1299.3
19 T&Dフィナンシャル生命 1260.7
20 ソニーライフ・エイゴン生命 1111.7

国内生命保険会社の2016年3月期の決算における、ソルベンシーマージン比率の上位20位を見てみましょう。

1位のネオファースト生命が約9,970%、20位のソニーライフ・エイゴン生命が1,111%。これだけ見るとよくわかりませんが、一般的に200%が健全かどうかの最低基準とされています。この数値が200%を下回ると、保険会社を監督する金融庁から早期是正措置命令が出され、200%を超えるための改善をするようにとの指示が出ます。(ちなみに、0%を下回った場合は金融庁から業務停止命令が出され、事実上の破綻となります。)
当然この支払余力であるソルベンシーマージン比率が低いことは大きな問題ですが、200%を上回るから安心かというと、一概にそうとも言い切れず、かといって高ければ高いほど良いのかというのも、破綻しないという意味では確かに安心ですが、保険会社の経営として良いとは言い切れない部分もあります。

そのご説明のために、以下簡単にソルベンシーマージン比率の算出方法について見ていきましょう。

ソルベンシーマージン比率の計算方法

ソルベンシーマージン比率の計算式は以下の通りです。

<ソルベンシーマージン総額>

主に保険会社の資本金を指しますが、それに加えて貸倒引当金や危険準備金なども含みます。

<リスクの合計額>

一般的に保険商品毎に算出しているものを超えた、様々なリスクの合計値です。このリスクとして考えられるのが、

・大震災や疾病の流行により保険金の支払いが急増するようなリスク

・保険会社は保険契約者から預かったお金を、企業への貸付や株などの投資商品で運用する「機関投資家」という顔も持っていますが、株価の暴落や為替が急変することで、資産価値が大幅に下落するリスク

・社会的な信用問題や、保険契約者が大量に保険の解約を行うなどの経営上のリスク

など、金融庁の基準に従って細かく計算されています。

<なぜソルベンシーマージン比率は200%以上必要なのか>

では、上記の計算式を踏まえて、ソルベンシーマージン比率の基準が200%以上である必要があるのかについて見ていきたいと思います。

仮に、ソルベンシーマージン総額をA、リスクをRとすると、

となり、これを計算していくと「A=R」、つまりソルベンシーマージンの総額とリスクとして見込まれる総額が同じになります。

金融庁が目安としているソルベンシーマージン比率が200%というのは、このように支払い能力がギリギリの状態で、起こったリスクに対して保険金を支払いはなんとかギリギリできたけど、支払った時点でその会社のお金が全て無くなったという状態です。

ここからも、200%という基準はもちろん、200%を少し上回ったぐらいでは、その保険会社が健全かどうかということを論じるのは難しいレベルだと言えそうです。

<一方で、比率が高すぎるのも考えもの>

上記の状態から、ソルベンシーマージン比率はなるべく高い方が、想定外のリスクにも十分対応できるため、保険会社が破綻してしまう危険性も低く、安心だと考えられます。

もちろん、保険会社にとって一番大切なことは、破綻することなく永続してくれることです。しかし、もちろん破綻しなければいいというものでもありません。

保険会社の中には、ソルベンシーマージン比率を高く保つために、保険金の水準を切り下げるという会社もあり、金融庁の検討チームにおいても、こういった点は問題視されています。

また、それとは異なり、その保険会社の契約件数が少ない場合や、ガン保険などの特化しているような場合は保有しているリスクが他社に比べて少ないため、ソルベンシーマージン比率が大きくなってしまう傾向があります。

そういった点からも、高すぎるからいいというわけではなく、金融庁の識者の見解からも600〜1,000%ぐらいが適正水準と考えるのがいいのではないかと思います。

 

生命保険契約者保護機構について

https://www.pexels.com/photo/architectural-design-architecture-blue-sky-building-443378/

前章では、ソルベンシーマージン比率という、保険会社の支払余力から見る、経営の健全性の基準指標についてご紹介してきました。

いつ何時想像もつかないような大きなリスクに直面するかもわからないため、やはりこういった指標は保険会社の健全性を見る上で重要な判断基準となります。

とはいえ、もちろん一概には言えないのですが、基本的に保険会社はそう簡単に倒産することはありません。

これは国内の事例ではありませんが、リーマンショック時、アメリカではその金融危機に名前が付いた世界的な証券会社であったリーマン・ブラザーズ証券を半ば見捨てた形になった反面、アメリカ政府は世界的保険会社であるAIGグループには公的資金を投入することで存続させるという決断をしました。

これは様々な事情もあり、事実の一側面でしかありませんが、アメリカ政府がAIGグループを救ったのは、AIGグループが保険(保障)という機能を担っている会社であるということも一つの要因でした。

こういった点からも、保障という役割を担う保険会社の役割の大きさがよくわかります。

日本では過去に倒産した保険会社がある!

とはいえ、ここ日本では1997年に日産生命が戦後初めて破綻・倒産したことを皮切りに、2008年の大和生命まで、約10年間で8社の生命保険会社が経営破綻しました。

<倒産した原因とは>

これらの会社が倒産した主な原因として、元々予定利率が各社の中でもトップクラスに高い保険商品を売っていたことによります。

皆様も「お宝保険」という言葉をご存知かもしれませんが、80年代後半のバブルの頃、銀行にお金を預けるだけで6%の利息が付くという時代、保険も同様に5〜6%といった予定利率の商品がたくさんありました。

生命保険は契約時の予定利率が解約するまで引き継がれるため、それを今でも持っていらっしゃる方は、まさに「お宝」なわけですが、保険会社としてはその高い予定利率を維持することは、現在の状況下では非常に困難です。

倒産した会社は、そういった状況の中バブルが弾け、一気に国債の金利や株価が暴落したことで、経営破綻に追い込まれてしまいました。

保険会社名 倒産年 救済会社
日産生命 1997年 プルデンシャル生命
東邦生命 1999年 ジブラルタ生命
千代田生命 2000年 ジブラルタ生命
第百生命 2000年 マニュライフ生命
協栄生命 2000年 ジブラルタ生命
大正生命 2000年 PGF生命
東京生命 2001年 T&Dフィナンシャル生命
大和生命 2008年 PGF生命

上記が破綻した8社と、その会社を救済した会社の一覧です。

実際に高すぎた予定利率は、救済会社に引き継がれる際に下げられるなどの対応がありましたが、破綻によって保険商品が完全に無価値になるという事態は避けられました。

日本では、上記の破綻日産生命の破綻をきっかけに、万が一生命保険会社が破綻しても対応ができる、セーフティネットを設けることになりました。

それが、「生命保険契約者保護機構」です。

生命保険契約者保護機構とは

生命保険会社の倒産は、多くの保険契約者に多大なる影響を与えます。そのため、1998年に保険契約者の保護を目的に設立されたのが、「生命保険契約者保護機構」です。

この保護機構は、日本で生命保険会社(損害保険会社にはこの機構はありません)を営む全ての会社が会員となり、毎年負担金を出し合うことで運用されています。

万が一いずれかの生命保険会社が破綻した場合、このプールされた負担金から資金援助等を行いますが、救済措置の方法については「救済保険会社」が現れたかどうかで変わってきます。

<救済保険会社が現れた場合>

破綻した生命保険会社の保険契約を継承してくれる、他の保険会社のことを「救済保険会社」と言います。この「救済保険会社」として名乗りをあげた保険会社が、破綻した保険会社より、保険契約の移転、会社の合併等を行い、保険契約の継続を行います。

この際、生命保険契約者保護機構は、破綻した生命保険会社が移転までの段階で保険金の支払いが滞った場合など、必要に応じて資金援助を行います。

合わせて、移転や合併業務は時にかなり大掛かりな作業となりますので、必要に応じて救済保険会社に対しても資金提供を行います。

このように、救済保険会社が見つかった場合は、生命保険契約者保護機構は、主に資金提供の役割を担います。

<救済保険会社が表れなかった場合>

救済保険会社として、どの会社からも手が上がらなかった場合、保護機構は2通りの方法により破綻した生命保険会社の救済を行います。

・「承継保険会社」による救済措置

1つ目の方法としては、生命保険契約者保護機構が、子会社として「承継保険会社」を設立するパターンです。

破綻した生命保険契約の受け皿として承継保険会社を設立し、そこに保険契約を承継させます。承継保険会社は以後の保険料の受け入れや、資産運用、保険契約の承継以降の保険金等の支払いを行います。

この引き受けと並行し、救済保険会社を継続して探すということも行います。

・生命保険契約者保護機構が引き受け

2つ目の方法としては、「承継保険会社」を設立することなく、保護機構自らが破綻した生命保険会社の保険契約を引き受けることもできます。

この場合も、「承継保険会社」の場合と同様に保険契約の管理を行います。

引き継がれる際の、保険契約はどうなるのか?

上記で見てきた通り、仮にご自身が加入している生命保険会社が破綻した場合でも、救済保険会社もしくは生命保険契約者保護機構により、保険契約は継続されるということがわかりました。

しかし、契約時の内容がそのまま引き継がれるということはなく、責任準備金や予定利率に見直しが入ります。

・責任準備金の削減

責任準備金とは、生命保険会社が将来の保険金や給付金を支払うために、契約者から預かった保険料の一部から積み立てる準備金を言います。

この責任準備金は、承継されることで通常は90%までは補償されます。ただし、ここは混同しがちですが、責任準備金は90%まで補償されますが、保険金や給付金も90%まで補償されるというわけではないので、ご注意ください。

・予定利率の削減

責任準備金と同様、多くの場合予定利率も引き下げられることがあります。

この予定利率が下がることで、当初契約していた保険金額や、解約返戻金(かいやくへんれいきん)下回ることがあります。

特に、バブル期に契約したような予定利率が非常に高い時期の商品かつ、満期までの期間が長い個人年金保険や、終身保険のような貯蓄型にもなる生命保険の場合は、大きく損をしてしまう可能性があります。

実際に2000年に破綻した大正生命の場合、予定利率が10%だったものが、継承にあたり1%に引き下げられたという事例もあります。

ゼロにならなければ・・・という心構えであれば問題ありませんが、やはり生命保険会社が破綻してしまった場合は、少なからず影響が出ることは間違いありません。

是非今後保険会社を選ぶ際は、冒頭のソルベンシーマージン比率や、生命保険会社が開示している基礎利益(年間の保険収益から諸経費を差し引いた、本業での利益)の推移を見ることで、その生命保険会社の健全性の参考にしてみてください。

まとめ

https://www.pexels.com/photo/low-angle-view-of-building-against-cloudy-sky-258168/

いかがでしたでしょうか。保険や家のような長期に渡って高額の支払いをするような商品を購入する場合は、その商品を取り扱う会社が途中で無くなってしまうことは、本当に一大事なことです。

今後絶対に破綻することはない、という確実な保障はもちろんどの会社にもありありませんが、長い期間付き合っていくことになる生命保険会社選びにおいては、きちんと過去から現在の経営健全性は確認しておいた方が安心です。

是非今回お伝えした内容を踏まえ、気になる生命保険会社を調べていただくとともに、気になる方は専門の担当者にご相談してみてください。

当サイトではご自身のライフプランに合わせた無理のない保険活用のアドバイスができる相談員を無料でご紹介することが可能です。長い目でみたライフプランニングの相談に気軽に乗る事ができますので興味のあるかたは下記フォームより申し込みをお待ちしております。

 

 

無料保険相談はいかがですか?

「記事を読んでも、よく分からない」「実際に、保険のプロに聞いてみたい」そんな時は、保険サミットの無料保険相談サービスをどうぞ。 弊社の紹介する保険のプロが、こちらから最寄りのカフェまで伺います。 もちろん、その場で契約を迫られるような事はありません。是非、お気軽にお申込みください。